空は遠く109

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「君もクラスメイト? 佑人の兄の郁磨です」
「あ、ああ、えっとぉ、山本です」
 言いながら、坂本は、このやろう、と力を睨む。
「それじゃ、俺ら、これで」
 力はもう歩き始めていた。
 坂本も仕方なさそうに続く。
 ところが十メートルほど歩いてから、力は踵を返して、ドアを開けて入ろうとしている郁磨に駆け寄った。
「あの、成瀬のことなんですが」
 郁磨は振り返って力を見上げた。
「佑人がどうかした?」
「いや、実は、近隣の不良高校生がうちの学校の生徒を狙って絡んでくるっつうか、喧嘩吹っかけてくるみたいなことが、頻繁に起こってて」
 坂本は力に何を言い出すんだという顔を向ける。
「年末だし、物騒なんであんまり一人で動かないようにって、言ってるんですが」
「そうなの? それでわざわざ?」
「ええ、まあ。実際、友達が怪我させられたりしてるし。やつら団体でくるから、すみませんが、成瀬のこと気をつけてやって下さい」
 力はそう言って頭を下げた。
 思いがけない力の行動に坂本は驚いた。
「ありがとう、わかった、気をつけるよ」
「成瀬のやつ、負けず嫌いなんで、それとなくのがいいと思うけど」

 


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