空は遠く114

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「こいつ、妹の美沙。同じクラスの成瀬だ」
「あ、あの、初めまして、一年Bクラスの東山美沙です。ウッソ、お兄ちゃん、ほんとにあの成瀬さんと友達なんだ? びっくり!」
「うちの高校? 何それ、あの成瀬って…」
 佑人は、必要以上にまた過敏になっている自分が嫌だったが、聞かないではいられなかった。
「だって、成瀬さん、うちのクラスの女子とか、みんな憧れてます、学年一位で理知的で、きれいで、品よくって………それが何でこのダメダメ兄貴なんかと」
「てめ、何がダメダメ兄貴だ?!」
「だって、そうじゃん、今度の入院だって、もし喧嘩ってバレたら、また停学じゃない? 一年の時、一回停学くらってるから、下手したら退学かもよ?! 今回は山本力の知り合いの病院で、こっそり治療してもらえたからよかったようなものの」
「うっせーよ! しゃべってねぇで、さっさとメシ作れよ!」
「わかったわよ。あの、成瀬さん、きたないとこですみません、ごゆっくり」
 ぺこりと頭を下げて、美沙はドアを閉めた。
「山本の知り合いの病院?」
 気になって佑人は聞いた。
「何か、じじいの医者がやってるボロいとこ、力のやつがガキの頃からのかかりつけだって。久我山の……」
「ひょっとして、宗田医院?」
「え、知ってんの?」
「俺も小さい頃、行ってた。院長って確かうちの祖父の飲み友達で」
「そうなん? 世間、狭いわ。ま、俺なんか、美沙の言うとおり、ダメダメかもな。また喧嘩で停学とかってなったらヤバいっぽいし、これでも一応、大学どっか行くつもりではあるんだけどよ」
 またひとつ東山はため息をつく。

 


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