佑人はその時、初めて東山というクラスメイトを認識した、気がした。
バカばっかりやっているように見えて、いや、佑人がそうとしか見ていなかったのだが、東山は東山なりに葛藤があるのだ。
「あとまだ冬休み十日はあるから、大丈夫、ばれないよ。その足じゃ大人しくしてなきゃな」
「あれ、そういや、お前こそ、大丈夫か? 一人できたんだろ?」
「電車で帰るだけだし。ゴメン、長居しちゃって、帰るよ」
「え、せっかく来てくれたんだし、メシ食ってけば? 妹の下手くそな料理だけど」
「いや、俺も今日、当番なんだ。あ、送らなくていい。足、無理するな」
「お、おう、すまん」
佑人が降りていくと、キッチンから美沙が顔を出した。
「成瀬さん、お夕飯、食べてって下さい」
「ありがとう。俺も早く帰らないと。じゃ、お兄さん、お大事に」
佑人が微笑むと、美沙はまた顔を赤らめる。
「こちらこそ、ありがとうございます。お構いもせずに………」
美沙の夢見るような視線に送られて、東山家を出た佑人は、下高井戸駅から電車で一つ目の明大前で降りると、いつも使っている線のホームへと向かう。
到着したのは各停だった。
電車に乗り込んでから、佑人は携帯で三鷹にある喫茶『ドン』を探す。『ドン』は案外簡単にヒットした。
坂本が意外な人物からの電話を受け取ったのは、シャワーを浴びてから一人気ままに宅配ピザを注文し、冷蔵庫から烏龍茶を取り出したその時だった。
「は? 坂本ですが、どなた?」
知らない番号だった。
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