空は遠く119

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 坂本はタクシーの中でイライラと脚をゆすっていた。
 ピザを放り出し、濡れた髪もそのままジャケットを掴んで部屋を飛び出してタクシーを捕まえると、三鷹まですっ飛ばしてくれと座席から身を乗り出すようにして運転手に頼んだ。
 何度か佑人の携帯を呼び出しているがやはり電源を切っているようだ。
 すると持っている携帯が鳴った。
「おう、東か、ワリィ、ちょっと今のっぴきならない事情で、また、今度………え……なんだと?!」
 切ろうとした坂本は、東山の成瀬がさっき来たという話に声を上げる。
「それでお前、しゃべっちまったのか?! ばっきゃろ! 成瀬、勝手に行っちまったんだよ!」
 東山は驚いたが、佑人のことが何か気になって力の携帯にかけたが出ないから、坂本にかけたのだと言う。
「『ドン』だな? あばらや? あの辺りの? 空き家! わかった。ああ、てめぇは動くな!」
 東山に怒鳴りつけると、今度は練を呼び出した。
「三鷹、俺も向かってる。くっそ、俺、ちょうどバイク、入院させてて、タクシー。成瀬のやつ東山んとこ行って、聞き出したらしくて、あの辺りのあばら家って、そう、空き家らしい、塀で囲まれてるって。今、俺も調べる」
 練との通話を切ると、坂本は携帯で『ドン』の周辺を調べ始める。
「くっそ、もっと早く、調べとくんだった!」
 それでもマップで見ると、『ドン』の周辺にある広い家は三軒ほどだった。
 タクシーが三鷹近くに差し掛かった頃、画面を睨みつけていた坂本の手の中で携帯がコールした。
 佑人の兄からだった。
 一瞬、どう言ったものかと坂本は迷ったものの、電話に出た。
「どこにいるかわかりましたか? 教えて下さい。俺も行きます」
 静かだが有無を言わせぬ雰囲気で問われ、坂本は事実を伝えることにした。
「三鷹の『ドン』という店です。先日お話した、近隣の高校のワルたちのたまり場で、こないだ仲間がやられたことに責任感じて、成瀬、一人で行ったみたいなんです」

 


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