「わかりました。行ってみます」
電話はすぐに切れた。
「だから、何であいつが責任感じなくちゃなんないんだよっ!」
坂本はイラつきながら、ようやく三鷹の駅の近くにくると、いてもたってもいられず運転手に一万円札を渡してタクシーを飛び出した。
「あ、おい、おつり………」
ちょっとはもったいない気がしたものの、この際おつりとかもらってる時間なんかないって、と『ドン』に向かってとにかく走った。
井の頭通りを車の間を縫ってバイクを飛ばしに飛ばし、時間にしておそらく十分ほどで三鷹に辿り着いた力は、やがて『ドン』という看板が目に入ると、バイクを停めるのもそこそこに、店のドアへと突進した。
蹴り倒されるようにドアが開いて、『ドン』の店内にいた連中はドカドカとライダースブーツで踏み込んできた大柄な男を一斉に見た。
「何だぁ、てめぇ!」
近づいてきたひょろっとした髭面の胸倉を掴むと、フルフェイスのヘルメットを取りもせず、力はその髭面を壁に押し付けた。
そのままついでに後ろからかかってきた二人を即座に蹴り倒す。
「成瀬はどこだ?」
ぎゅうぎゅうと壁にさらに押し付けるようにして、男に聞いた。
「知るか……」
途端、力は締め上げていた男をくるりと裏返し、今度はその腕を力任せに捻り上げる。
「…わーっ、いてっ、ぎゃああああああああっ!」
情けなくもおぞましい悲鳴が店内に響き渡る。
「腕を潰されたくなけりゃ、吐け!」
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