空は遠く126

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 きゃんきゃん犬が吠え、客が練を相手に取るに足らないおしゃべりをしている環境の、どこが落ち着くのだか、と練は皮肉ってもみるのだが、この坂本と力は店にやってきては居座るのをやめようとしない。
 五時から七時までは準備時間となり、いつもなら七時から十時が営業時間だが、今夜は特別である。
「パーティ、可愛い子がくるんだよな? 練」
 カウンターの中で忙しくグラスを磨いている練に坂本が聞いた。
「タラシの力や坂本くんには近づくなと言ってある」
「けっ! 自分はどうなんだよ!」
 力が言い返す。
 毎年大晦日の晩は常連客に声をかけてカウントダウンパーティが行われる。それぞれペットを伴った客が集まってくるのは、午後八時を過ぎた頃からだ。
 店は元日の七時まで営業し、三が日は休業となる。
「成瀬くんにも声をかけたんだが」
 練がボソリと言う。
 力の動作がふっと停止する。
「いくら何でも今度はあのクソバカヤローもおいそれと顔を出せるもんか。人の忠告をさんざ無視したあげくドジって捕まりやがって、下手すりゃ、今頃クスリ漬けにされて、ヤツらのいいようにされてたんだぞ!」
 今にも手にしたグラスを握り潰さんばかりに力が激昂する。
「フン、拳銃持ったヤクザ相手に考えなしに素手で猪突猛進したのは誰だよ。一中のダルビッシュといわれた俺様のコントロールがなけりゃ、今頃お前の香典用意してるところだ」
「けっ、誰がダルだ? 銃の訓練もしてねぇヤツのタマなんかにそうそうあたってたまるかって」
「お前ら、いい加減にしろよ。今回は拳銃もヤクも押収できたからいいようなものの、そうそう片岡警部だって、大目にみてくれないぞ」

 


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