空は遠く127

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 力と坂本のやり取りに割って入った練が二人に釘をさす。
「たまには、警部のところに行って礼くらいしてこいよ、力。こないだだって、お前らが消えるまで待ってからやってきてくれたんだぞ」
「フン、腹違いの不詳の弟が何かしでかしたら自分の地位が危うくなるからってだけだろ」
「しかし、梶田のやろう、成瀬のことはバラさなかったのか? ほんとに」
 坂本が思い出したように言う。
「さあ、未遂の罪まで背負いたくはないんだろ?」
「わかるもんか、また兄貴がうまいこと何か吹き込んだんじゃねーのか? 元族のアタマ操って情報手に入れて、課が違うのに手柄をくれてやって恩を着せて、スイスイと昇進だ、あのやろう」
 練はクスリと笑う。
 百合江がまだ警察幹部だった力の父親片岡とつき合っていた時には、既に片岡の妻は亡くなっていたし、力が生まれたこともあって、当時もう成人しており、今は医師となっている長男や大学生だった次男、つまり現在は練が情報提供している警視庁捜査一課のエリート警部だが、二人とも入籍を勧めたにもかかわらず、百合江は頑として一人で育てることを主張した。
 とはいえ、片岡家と百合江や力とは円満なつき合いを続けているし、力のできすぎな兄二人は年の離れた弟をそれなりに可愛がっている。
「いや、実際シャブ漬けにされて売人やらされてた女子大生が一人、亡くなってるからな。警部も結構キリキリしてたんだ」
「しっかし、テキも考えたよな。いかにも良家の子女ってな優等生ばっか狙って、クスリ漬けにして売人させるなんざ」
 練の説明に、坂本が感心したように付け加える。
「だけじゃねぇよ、女の子らとか売春にも加担させられてたらしい」
「うっひゃああっ! 間一髪、成瀬ちゃんなんかきれーだから、そっちも危なかったかも! しかも相手は好きもののエロオヤジだったりして」

 


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