空は遠く133

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   ACT   15
 
 
 成瀬家は年明けを一家で箱根の温泉でゆったりと過ごした。
 風呂付のリッチな部屋を四つリザーブして、両親、渡辺の祖母と成瀬の祖父、それに郁磨と佑人の部屋はペットOKで、ラッキーもペット用の温泉に浸かったりしてご満悦そうだった。
 家族との和やかな時間は、佑人の心にも少しばかり平穏をもたらした。
 四日に東京に戻ってくると、各々がスタジオだ仕事だ研究室だとそれぞれの日常に戻っていき、祖父は初稽古、祖母はその夜から店を開けた。
 佑人はその日から柳沢に来てもらって、早速かなり目一杯、古文など苦手な分野の克服にいそしんだ。
 既に坂本のところにも行ってきたようで、なかなか飲みこみが速いし、このまま手を抜かずにやればT大もさほど問題なく入れるだろうと、柳沢は言った。
「英語がもう一つってとこみたいだけどね」
「そんなにがむしゃらにやってる感じはないけど、たいてい五番以内いるから、坂本は」
「佑くんも少し肩の力を抜いてもいいと思うよ。せっかくの高校生活、もうちょっと楽しんでも君なら受験なんて何の問題もないけどね」
 柳沢は優しく微笑んだ。
 そうして短い冬休みはあっという間に終わり、三学期が始まった。
 登校する前は、いっそ誰かと席を替わってもらおうかとも佑人は考えたが、ここでそんな動きをすれば何があったのかとクラスメイトに可笑しな勘繰りをされるような気もして、それはやめた。
 どのみち、三年になればクラス替えもあるしな……
 それに佑人が考えるほど、力は佑人のことなどもうどうとも思っていないのだろう。
 啓太やちょっと足を庇いながら歩いている東山も今までどおり、よう、と声をかけてきたが、斜め前に背を向けている力は振り向きもしない。
 自意識過剰、だな。
 佑人は自嘲して窓の外に目をやった。

 


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