葉を落としたメタセコイア並木が、灰色の空をバックに寒々しく裸の枝をさらしていた。
天気予報では西高東低、マイナス三十六度からの寒気団が日本列島に居座っていて、今日は夜にかけてかなり気温が下がり、雪が降る可能性もあるらしい。
午前中は始業式、ロングホームルームで過ぎたが、午後からは普通に授業が始まった。
「成瀬は、マックとか、寄らないよね?」
授業が終わると、啓太がちょっと遠慮がちに声をかけてきたが、「図書館に行くから、またね」とかわして教室を出た。
まさしく今日は背中しか見なかったな。
力が振り返りそうな時は、佑人が俯いていたから、一度も目を合わせることなく一日が終わった。
まあ、こんな風に、きっと三月まで過ぎていくんだろ。
それでいいと思う。
クラスメイトは力と佑人の言い争いも何も知らないし、佑人が力たちと一緒に行動しなくなったからといって、そうなんだくらいにも思わないだろうし。
このまま波風が立たないよう。
そんなことを考えながら階段を上がり、佑人は時計台のちょうど下、四階にある図書館へと向かう。
いろんな原書も書庫の奥にあると、司書に確かめた佑人は、何となく読んでみたくなってパソコンで場所を調べ、生徒たちはあまり立ち入らない第二書庫へと足を踏み入れた。
手に取ったのはレナード・サスキンド著の「宇宙のランドスケープ」、原題をThe Cosmic Landscapeというペーパーバックだが、物質の究極の要素は「粒子」ではなく「弦」であるという超弦理論をベースにした宇宙に関する著書だ。
宇宙に関するものは何でも読んでみたい。
日本語訳が出ているが、原書でまず読んでからと思ったのだ。
「それ、割と面白いよ。でも俺は、ブライアン・グリーンのエレガントな宇宙の方が好きだけど」
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