「ああ?」
「たまったま、Dクラスのダチがさ、見たんだってよ、あいつら」
「何を?」
坂本だけでなく力も眉を顰めて振り返る。
「いや、図書館でたまったま、ヤツラがお勉強してる傍を通りかかったら、なんと会話が英語だったって」
「何だと?! 上谷のヤロウ、その成瀬の相手は俺になるはずだったんだぞ!」
坂本は声を上げて関係ない東山に突っかかる。
「何だ、そりゃ?」
「いや、柳沢さん、成瀬のカテキョん時、オールイングリッシュなんだってよ。俺も混ぜろって言ったんだが」
「断られたと?」
力は思い切りバカにした笑いで坂本を揶揄する。
「うっせーんだよ、力!」
「やっぱ、成瀬、世界が違っちゃったんだ」
啓太は啓太で、ガッカリしたような声を出す。
「ま、しゃーねーだろ。元々あいつ、俺らとつるむような手合いじゃねぇし」
東山も心なしか寂しげだ。
「しっかし、あいつ、ぜってぇ成瀬を………」
坂本は腕組みをして呟いた。
「ああ?」
力が坂本を見たが、坂本は眉を顰めたまま黙って歩き出した。
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