「なーんか、いつの間にオトモダチになっちゃったんだ? あれ」
肩を並べて階段を降りていく佑人と上谷を見送りながら、坂本は廊下に出てきた力に言った。
「知るか。優等生同士だから話も合うんじゃねぇ?」
フンと鼻で笑い、面白くもなさそうな顔で力が言った。
「それを言うんなら、成績じゃやつより俺のが成瀬にふさわしいだろ」
「バーカ、お前なんか正体知られちまってるじゃねぇか」
「大体貴様のせいだぜ? もとはと言えば!」
坂本はムッとして、力にくってかかる。
「何が」
「てめぇが成瀬の兄貴とかに俺の名前を騙ったりするから、柳沢さんがいくら俺を褒めたとしても、成瀬の兄貴はお前の顔が浮かんだりするんだ! どうしてくれる? え?!」
力はガハハと声を上げて笑う。
「だったら成瀬の兄貴に本当のこと言えばいいだろ? 俺が坂本ですって」
「俺がウソついて騙したことになるだろうが!」
また声を上げて笑う力の後ろを歩く東山と啓太はそれぞれあまり面白くない顔をしていた。
「なーんか、成瀬、俺らと住む世界がちがっちゃったのかな。もう、マックも一緒にいかないのかな」
啓太がボソッと言ったのを聞きつけて、力が振り返る。
「バーカ、いい加減、おめぇにおごらされるのなんか真っ平なんだよ」
「何だよ、自分だって!」
「でもさ、ほんと、あいつら、世界が違うみてぇだぜ?」
東山も似たようなことを言う。
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