空は遠く144

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   ACT   16
 
 
 父の一馬のスケジュールが不透明で、佑人は三者面談の希望日もまだ提出できていなかった。
 進路調査の方は合格ラインの大学を適当に書いておけばいいだろうが、面談の方はそういうわけにはいかない。
 これまで一度あった面談には一馬が研究室から駆けつけてくれたのだが、週末からボストンに十日間出張することになっているためなかなか言い出せないでいた。
 たまたまその夜、リビングに両親が揃ったので、佑人は一応面談のことを切り出してみた。
「三者面談? あら、来週なの? どうしよう、かずちゃん金曜日の便だったわよね?」
 クッキーを齧りながら佑人が差し出したプリントを読んだ美月は一馬の顔を見た。
「うん、困ったな、戻ってくるの、二月に入ってからの予定なんだよな、何とかならないかな」
 紅茶のカップをテーブルに置いて一馬は頭をかきながら、うーんと唸る。
「いいよ、また、どこかでってことで加藤先生に言っておくから」
 佑人は笑って立ち上がった。
「待って、来週なら、あたし火曜日オフよ」
 そう言い出した美月に一馬も佑人も、えっという顔で美月を見つめた。
「だって、みっちゃん…」
「だぁいじょうぶよ、ばれないようにしていくから」
 言いかけた一馬を遮って、美月はにっこり笑う。
「やぁね、私は女優よ? 大学教授夫人なんて役もやったことあるのよ? 任せなさい」

 


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