空は遠く150

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「しけこむとか、いくつだよ、てめぇ。気分じゃねぇんだよ」
「若宮、前っからお前狙いだったろ? やっとお前に振り向いてもらえて有頂天なんだぜ? せめてバレンタインデーくらいまではもたせろよな?」
「っせーんだよ!」
 思い切り不機嫌な声で力が怒鳴る。
「だから、でけぇ声出すなって。客が減る」
 レモンティとしっかり伝票も一緒にテーブルに置きながら練が文句をつける。
「…っ、すっぱ……!」
 かぶりとレモンティを口にして、力はカップを慌てて置いた。
「レモンティを選んだのはお前だろ。ああ、お前も試食するか? バレンタイン用のチョコケーキ。甘いからちょうどいいんじゃないか?」
 練はからかい半分、力を睨みつける。
「んなもん、誰が食うかよ」
 すると練はふうと一つ溜息をついた。
「成瀬くんは美味いって食べてくれたのにな、最近来ないな。お前ら、いじめてんじゃねぇのか?」
 力は眉をひそめるがムッとしただけで黙り込む。
「俺じゃないって、力がいじめるから、成瀬、あんなヤツとつるむようになっちまって」
「誰がいじめた?! あいつが勝手にこっちをシカトしてんじゃねーかよ」
 ぶーたれる坂本に、力がまた声を荒げる。
「あんなヤツって?」
 練は力ではなく坂本を見た。
「ああ、うちのガッコの生徒会長。帰国子女ってか、ハーフのにやけヤロウだよ。最近妙に成瀬に言い寄りやがって」
「何だ、その言い寄るって」
 練は笑ってカウンターの中に戻っていく。

 


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