空は遠く151

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「俺の見るところ、やつの目はその言葉通りさ。俺も気になって、ヤツを中学ん時から知ってるってダチに聞いてみたのさ。上谷ってどっちもイケるって」
 坂本は一人頷いている。
 途端、力がいきなり立ち上がった。
「どした? 力」
 坂本はコーヒーカップを持ったまま力を見上げた。
「さっきすれ違った時、あのヤロウ、成瀬をうちに連れて行くとかって」
「だったらどうするって? まさか、いきなり押し倒したりしないだろ? 生徒会長って肩書きあるし、それに成瀬って咄嗟に鉄拳出るじゃん」
 坂本は図に乗って佑人にキスしようとした時、ガツンとやられたことを忘れてはいない。
 冷静に判断する坂本とは逆に、力はまたソファに腰を降ろしたものの、イライラと体を揺する。
「あのバカ、また、つまんねぇヤロウに関わりやがって……」
「まあ、つまんねぇかどうか、成瀬次第だろ?」
「どういう意味だ?」
「やっぱ、少なくともお前らとつるむよりはいいと思ってんじゃねぇ?」
 力はジロリと坂本を睨んだが、それから、フン、と鼻で笑い、「タロー、来い!」とリードを掴むと表に飛び出して行った。
「しかし、成瀬くん、そんなヤツとつるんでて、ほんとに大丈夫なのか?」
 練が少し心配そうに坂本に尋ねた。
「まあ、残念ながら俺は脈ないみたいだけど、今はな。何しろ、成瀬ってそれこそ周囲のどんな人間に対しても完全武装してっから、あのヤロウにその城壁を崩せるとは思えないんで」
「ほう? えらく成瀬くんのことわかった風なことをいうじゃないか」
 練はまだ何か言いたそうだったが、ちょうど客が入ってきたので、「いらっしゃいませ」と恐持てに営業用スマイルを浮かべた。

 


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