空は遠く155

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「あ、めがね美人のおかあさん? 最初、俺、成瀬の姉貴かと思ったもん」
「それはないよ」
 啓太とそんな風に話すのも久しぶりだ。
「力んとこ、今、来てるみたい」
「ああ、百合江さん? それこそ、若いよな? とても山本の親とは思えない」
「そうそう! あ、来た、母さん」
 啓太が窓から外を見て声を上げた。
 つられて佑人も外を見る。
 遠めにだが雰囲気が啓太に似たにこやかな人のようだ。
「成瀬くん! 久しぶり!」
 唐突に教室のドアが開いて、駆け込んできたのは噂の百合江だった。
「あ、ご無沙汰してます」
 長い髪に白のワンピース、はっきり言って一見女子大生だ。
「そうよ、最近ちっともお店に顔出してくれてないって、練ちゃんもぼやいてたわよ。今度は私がいる時に来てね」
 何やら誤解されそうな台詞に、佑人も少したじろぐ。
「あ、はい……」
「こら、百合江! てめぇ、高校生相手に何やってんだ! とっとと帰れ!」
 ドア口に顔を出した力が怒鳴りつける。
「うるさいわね、このドラ息子! ごめんね、これからお店あるから、成瀬くん、きっとお店寄ってよね」
 慌ててヒールをかつかつと音を立てながら百合江は教室を出て行った。
「成瀬、加藤が呼んでるぜ」
 一瞬、佑人は息が止まりそうになった。

 


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