空は遠く173

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 成瀬が力を嫌っているんだと思っていたんだが………。
 いや、二人とも顔を合わせればまるで親の仇みたいに喧々囂々じゃん。やっぱ、水と油、なんだよ。
「一応、やつのことも忠告しといたが、成瀬、てんで聞く耳もたねぇし」
「やつのこと?」
「上谷だよ。俺の情報網によると、あいつかなりタチ悪いってよ」
 力は益々眉間に皺を寄せて表情を険しくする。
「フン、上谷か」
「いや、成瀬のことだし、あんな野郎の誘いに乗ったりしないと思うが」
「誘い? やつが成瀬を何誘ってんだよ」
「いや、ちょっとな」
 力は坂本の肩を力任せに掴んだ。
「ちょっと、何だ?」
 睨みつける力を坂本も睨み返す。
「だから上谷のやつ、バレンタインパーティとかに成瀬誘ってたんだよ」
 仕方なく坂本は白状する。
「何だよ、そりゃ!」
 坂本は力の手を引き剥がした。
「だから、成瀬がそんなパーティ、行くわけねぇとは思うが、上谷、成瀬の昔のこと持ち出して脅してるみたいだし」
 力は何も言わずにテーブルを拳で叩いた。
「おい、店を壊すなよ!」
 カウンターの中から出てきた練が力を窘める。
「あのバカ……、だから何で一人で何でもできると思うなってっだろ!」

 


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