空は遠く179

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 運転しているのは明らかにブロンド美人の、モデルか何かだろうか華やかな女性だ。
 上谷がドアを開けた後部座席に乗り込むと、ブロンド美人は佑人のことをしきりに可愛いと英語で連発している。
 佑人は冷めた目で前の二人を見やり、それから窓の外に顔を向けた。
 きらびやかな街の明りが眼に痛い。
 通りに溢れるような人の群れの横を通り過ぎると、少し静けさが漂う高級マンション街に車は入っていき、一つのマンションの車寄せに滑り込んだ。
 歩いてエントランスへと消えていく数人の男女も体格のいい外国人たちだ。
 中には日本人らしき顔もある。
 車から降りると、上谷は佑人の肩に腕を回しながら、エントランスに入っていく。
 運転していた女性を上谷はジェーンと呼んでいたが、彼女は駐車場へ向かった。
 十階ほどのマンションの最上階へとエレベーターは上がる。
「知り合いの家なんだ。本人、今海外で、俺が管理任されてる。ああ、パーティ好きな人だから、騒いでも問題ないし」
 そう説明つきでドアを開けると、やたら広いリビングが二十人程の男女のざわめきで満ちていた。
 たまに日本語が混じる程度で、英語やフランス語、スペイン語の他にロシア語のような言葉も聞こえてくる。
 割とラフな服装のようだが、いずれもモデルか業界関係者という感じで、佑人は場違いな気がした。
 大きなテーブルにはフィンガーフードの大皿がいくつか並び、奥がバーになっていてバーテンダーが一人カウンターの中にいる。
「その辺に座って、何か食べてなよ。飲み物もらってくる」
 上谷は窓際のソファに佑人を促した。
 上谷が戻ってくるまでに何人かの美女に声をかけられたが、言葉少なにろくな対応をしなかったので、すぐに離れて行った。
「はい。何か食べた?」

 


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