「いや」
オレンジ色が鮮やかなグラスを一つ佑人に渡すと、上谷は小皿にいくつかフィンガーフードを載せて持ってきた。
「どうぞ。向うにいたんならこんなパーティ、よくやっただろ?」
「子供の時だから、パーティも子供ばかりだったよ」
ありがとう、と佑人はカナッペを一つつまんだ。
上谷は皿を近くの小さなテーブルに置いて佑人の隣に座ると、持ってきたグラスに口をつけて半分ほど飲んだ。
また数人入ってきた。
空調がきいている上、大人数のせいもあり、ジャケットは脱いだものの部屋の中は暑かった。
だから佑人もごくごくとグラスの液体を飲んでしまったが、酒が入っているのではと何となくわかっていた。
口当たりがよく、ほとんどオレンジジュースの味しかしなかったのに、少し経つと体がほてってきた。
こんなところで補導でもされたら、また美月に迷惑がかかってしまう、と頭のどこかで理性が囁いていたが、思った以上にアルコールが強かった。
「成瀬、大丈夫? ひょっとしてアルコール、免疫なかった?」
すぐそばで上谷の声がした。
「ん、大丈夫、少し休めば………」
しっかりしなくてはと思う傍から、頭がふらついた。
「わかった、ここ空気悪いし、向うの部屋で休むといいよ」
上谷は佑人の体を支えながら立ち上がった。
佑人はジャケットをしっかり握りしめていたが、ほとんど上谷に抱きかかえられたままふわふわと歩く。
地に足がつかないというのはこのことだった。
パタン、とドアが閉まる音が聞こえた。
佑人の瞼が落ちて、寝かされたベッドで意識が飛んだ。
「可愛いよね、成瀬って」
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