そんな言葉にも、上谷が覆いかぶさってきたことにも佑人は気づかなかった。
それでも首筋の辺りを何かが這い回っているような気がして、佑人は無意識に手で追い払おうとした。
やがて胸の方にも違和感を感じた佑人は少し目を開けた。
何故、上谷の顔がすぐ間近にあるのかすぐにはわからなかった。
だが、ズボンのファスナーが降ろされて、ひんやりとした指が触れた途端、佑人の全身に怖気が走った。
逃れようと身体を捩るが、上谷がのしかかって佑人を押さえつけている。
さらに佑人の両腕を素早く掴んで上谷は佑人の動きを阻んだ。
「……や…めろ!! 離せ!」
「すんごい肌が滑らか。今時の女よりよほどきれいだ」
首筋を這い回っていたのが、上谷の舌だとわかると佑人は総毛立つほどの気持ち悪さを感じた。
「少しくらい抵抗してくれた方が、そそるよね」
追いかけてくる唇を振り払うように、佑人はかぶりを振る。
上谷が再びズボンの中に手を入れてきた。
「嫌だ! 離せ!やめ……!!!」
佑人をどうにかしようと夢中になっていた上谷は、バン! とドアが開いたことに眉を顰めたまま振り返った。
「はーい、そこまで! ダメでしょ? お子様を酔わせて悪さしようなんて、しかも生徒会長が」
何故坂本がそこに立っているのか把握しきれないまま、坂本が携帯でシャッターを押すのを上谷は動こうともせずに見ていた。
「プライベートだぜ? 無粋すぎないか?」
「どうみたって合意じゃないよな?」
その隙に、上谷を突き飛ばしてベッドから転がり落ちた佑人は、まだ酒のせいでふらつく頭で顔を上げた。
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