佑人も何故坂本がいるのかと靄が張ったような頭の中で考えを巡らせる。
その坂本の後ろから大きな影が現れたかと思うと、まだベッドの上にいた上谷に殴りつけた。
え……?
目の前の展開は幻覚ではないかとさえ思った佑人だが、次にはその肩に担ぎ上げられ、そのまま部屋から連れ出された。
「成瀬くんをテゴメにしようなんざ、八つ裂きにしても足りねぇ!」
知っている声がした。
「テゴメって、あんた、何時代の人間だよ」
「フン、死にそうな声で助けを求めてきたの、もう忘れたのか? 店もほっぽり出させやがって!」
「しゃあないだろ、俺バイクだし、成瀬連れてくのに車ないと。練なんか、成瀬くんの一大事とかって、すっとんできたくせに」
マンションに入っていく外人連中の後ろにくっついて中に入って見回した坂本は、佑人を抱えて隣の部屋に入っていくのに気づいた。
鍵もかかっていなかったのは、上谷が罪悪感など持ち合わせていない証拠だろう。
「お前らだけなら、来るもんかよ!」
少し意識が戻ると、佑人にも車の中だとわかった。
しかもまたしても練にまで迷惑をかけたのだと、佑人は自己嫌悪に襲われる。
「うっせーんだよ! 練! 黙って運転しろよ!」
後部座席でドアにもたれかかるようにして目を閉じていた佑人は隣で怒鳴りつける力の声にうっすらと目を開けた。
「……す……みません、ご迷惑をおかけして………ここで、降ろして……ください……」
佑人はどうやらまだ抜けきらない酒のせいでふらつきながら、身体を起こした。
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