空は遠く184

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   ACT   19
 
 
 夢を見ていたらしい。
 ラッキーと野原を走り回っていた。ラッキーはすっかり大きくなっていたが、佑人はまだ小さくて小学生だ。
 夢中になって走り回っていた佑人だが、突然差し出された足に蹴躓いて佑人はひっくり返った。
 草原の上に横たわった佑人が見上げると、青い空を背に腕組みをしたきつい目が見おろしている。
「お前、何やってんだよ!」
 睨みつけるように怒鳴ったのはやはり小学生の力だ。
「え、何って……」
 口ごもった佑人はわけがわからないまま泣いていた。
「ごめん……俺……ごめ……」
 しゃくりあげる佑人の涙を、ペロペロなめているのは力の傍にいたタローだった。
「……ごめん……」
 自分の涙の冷たさに、佑人は身体を起こした。
「おい、大丈夫か? 水、飲め」
 差し出されたカップを見て、それからそれを持って立っているのが力だと認識するのに、佑人は少し時間が必要だった。
 見回すと知らない部屋で、ベッドに寝ていたらしい。
 すぐ傍らに蹲っているタローがじっと自分を見つめている。
「……ここ……?」
「いいから、水飲め!」
 命令する力からカップを受け取って、佑人は口をつけた。

 


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