一口飲むと、あとは身体が欲っしたのか一気に飲み干した。
そうして少し頭の靄が晴れてくると、断片的にここに来た時のことを思い出した。
「どこ行ってたのよ! あんな大きな犬、いるし!」
ドアを開けた途端、女の子の声がした。
「お前、帰れ」
「え? やだ、誰? どうしたの? 成瀬くんじゃない?」
「とっとと帰れってんだよ!」
「何よ、それ……」
力に怒鳴りつけられた女の子は半泣き状態で、部屋を出て行った。
あれは多分、若宮だ。
まだふらついていた佑人は、力に引きずられるようにしてベッドにダウンして、そのまま眠ってしまったのだ。
「山本、ごめん、ここ、山本の家? さっき、彼女……」
「余計なことは考えなくていい」
「ごめん、ほんとに……帰るよ、俺」
「まだ、足元ふらついてるだろ」
「水もらったから、だいぶんよくなった。ほんとに、迷惑かけてごめん」
そういえば何時だろう、とジャケットのポケットにある携帯を取り出した。
既に時間は午前零時近い。
帰ってラッキーにご飯をやって散歩に連れて行かなければと思いながらベッドを降りようとした途端、手の中の携帯が鳴りだした。
郁磨からである。
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