どうやら本当に恥ずかしがっているようすの力は、身の置き場がなくなったらしくタローを連れて雨の中、外へと出て行った。
「んっとに成長ねぇやつだろ? いっちょまえに女はとっかえひっかえよろしくやってるくせに、まさしくガキ大将のまんま」
力が出て行くのをぼんやり見送った佑人は心の中で頷いた。
「そうだこれ、練さん、口に合うかどうかわかんないけど、ワインなんです」
持っていた袋を練に差し出すと、「おいおい、そういうの他人行儀ってんだぜ」と言いながら、それでも嬉しそうに受け取った。
「こんなことしてもらうためにやったんじゃないが、成瀬くんからのプレゼントなんて天に上る心地ってやつ?」
練はおちゃらかして笑った。
「まあま、その辺に座りなよ、ハーブティー淹れたから、俺のおごり」
それからショーケースでクッキーやケーキを見ていると、カウンターから出てきた練がテーブルへと促した。
「え、いや、俺……」
そんなつもりはなかった佑人だが、「まあまあ、雨の日は客もこねぇし、ヒマしてたんだよ」と練に言われて、近くのテーブルに腰を下ろした。
「ありがとうございます。あの、犬用のクッキー全種類二個ずつと、チョコレートケーキとイチゴのトルテ三個ずつお願いします。母から頼まれてて」
「あいよ」
「それで、クッキーは二つに分けてもらえますか? 一つはタローに上げてください。山本にささやかなお礼ってことで。」
ハーブの香りはようやく緊張から佑人を開放して一息吐かせてくれたようだ。
今朝も病院のラッキーに会ってきたのだが、心配そうに見つめる佑人の顔をペロペロなめてくれて、逆に心配されているような気がした。
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