空は遠く213

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「えっと、力、ビッグサンドとコーヒーで六五〇円」
「高田がチーズ、六八〇円で、坂本はハバネロとコーラで七九〇円」
 それぞれが財布を出して自分の分を佑人と東山に渡す。
 以前は面倒で佑人がまとめて支払ったりしていたが、力に釘を刺されたこともあって、きっちりもらうことにした。
 でないと高校からの帰りこのマックに寄る生徒は多いし、また変な噂をたてられかねない。
「そういや、成瀬んとこのワンコ、どう?」
 思い出したように坂本が聞いた。
「ああ、ありがとう。もうすっかりよくなった。全速力で走るのはもちょっと先みたいだけど」
「え、あのでかい犬、どうかしたの?」
 啓太が興味津々な目を佑人に向けた。
「うん、ちょっと事故ったんだけどね」
「何で、お前も、成瀬んちの犬のこと知ってんだよ」
 東山が口を挟んだ。
「前に成瀬んちに鞄届けたじゃんよ」
「あ、そうそう、練さんも最近成瀬来ないって寂しがってるからさ、また店寄ってやってよ」
 まだ何か話そうとした啓太の発言を坂本が遮った。
「え、うん、そうだね」
 そういえば、あの時鞄を持ってきてくれたのが啓太と力だったことはわかったのだが、力からはそのことについて何も聞いていないし、あらためて佑人から礼も言っていない。
 力にとっては名前も名乗りたくないくらいだから、わざわざ言うこともないのだろうけど。
「成瀬の兄貴はたまに寄ってるみたいだけど」
「ああ、うん、すっかり犬用クッキーとか気に入っちゃったみたいで」
「成瀬、兄貴いるのか」
 東山が聞いた。

 


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