「すげえ過保護兄貴な。でもって成瀬はブラコン。郁ちゃん、とかって」
またしても力がそこでニヤつきながら揶揄する。
「しょうがないだろ、子供の頃からそう呼んでるんだから」
河喜多動物病院でそう呼んでいるのを聞かれたのだと、佑人は赤くなって弁解する。
過保護なのは兄ばかりではなく両親や祖父祖母もだから、甘んじて受け止めているが、それをあらためて力に指摘されるとムッとする。
「またまたお二人さん、ここではヒートアップなしな」
坂本が軽い口調で二人を制したところで、女の子の笑い声がした。
振り返った坂本につられて、佑人も振り返ると、斜め後ろのテーブルに同じ高校の女子生徒が三人座っていた。
「ごめんなさい、ホントに仲いいんだね、山本くんと成瀬くん」
そう言いながら立って近づいてきたのは、同じクラスの内田だった。
「だって去年、目立ってたもの、山本くんたち。成瀬くんが混じってるのが不思議って言われてたけど」
「えっと君は? 俺、Dクラスの坂本」
早速坂本が声をかけた。
「内田です。山本くんたちと同じクラスなの」
「ほんと? 何、将来、科学者とか?」
「ううん、うちが薬局だから薬科大目指してるだけ。推薦狙ってるし」
「いや、しっかり目的あって、すごいな」
「そんなことないよ。あ、ごめんね、お邪魔して」
にっこりと鮮やかな笑顔を振りまいて内田は自分たちのテーブルに戻っていく。
「ちぇ、しっかり力を見つめてったぜ、彼女」
坂本でなくても佑人もそれは気づいていた。山本くんたち、と言葉にもはっきり意思表示があるようだった。
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