空は遠く215

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 やっぱりって感じだな。
 佑人の心にまた記憶にあるざわめきが走る。
「若宮と別れてから一か月半? 力にしちゃ、長い禁欲生活じゃねぇかよ」
 坂本がテーブルの下で力の足を蹴る。
「うっせーんだよ。気があるのはてめぇだろうが」
「俺には脈なしってことくらいわかるって。彼女、清楚な風だけど、結構遊び慣れてるとみたね。堂々と力に宣戦布告」
 チラリと奥で笑いあっている女子のテーブルに目を向けて、坂本がにやにやと笑う。
「ちぇ、また力かよ。いいよな、余裕あるやつは」
 東山が面白くなさそうにハンバーガーを齧る。
「何だよ、お前もバレンタイン、告白されたんじゃないのかよ」
「何で知ってんだ? あ、また啓太、しゃべりやがったな?」
「だってよ、いいじゃん、めでたい話なんだから」
「いいのかよ、東、俺らなんかとつるんでて」
「とっくに別れたよ。俺、面倒くさがりだし、当分はベンキョ」
 啓太やからかう坂本に、東山はきっぱりと言った。
「そういや、成瀬もバレンタインん時、いっぱい告白されたんだろ?」
 靴箱にたくさんチョコレートが入っていたのを思い出した啓太が佑人を見た。
「え、いや、ちゃんとホワイトデーにお返ししたくらい? 受験だしね」
 今年のバレンタインデーは苦過ぎて、できれば消してしまいたいくらいだ。
「そうそう、受験だもんな。ってことで、やっぱつきあうんなら、女より成瀬だよな」
 ジョークとわかっていても、坂本の発言は佑人にとってあまり嬉しいものではない。
「え、何、坂本、お前らってそういう仲?」
 東山がまともに尋ねてくる。
「バカぬかしてんじゃねぇよ!」
 大きな声で否定したのは力だった。

 


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