空は遠く219

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 昼休みは啓太がいつも呼びに来るので、雨が降らなければ大抵いつものメンツで屋上にいくのだが、力は時々抜けるようになった。
「余裕のあるやつは羨ましいぜ」
 今日の昼休み、東山がブツクサ文句を言っていた。
「余裕があっても、彼女がいなきゃどうにもなんねーじゃん」
 啓太はそれでもクラス内で二人くらい言葉を交わす友達ができたらしい。
「そりゃま、そうだ。でもよ、いくら何でもここいらで打ち止めだろ? 力のヤツも。理系選んだってことは上の学校目指してるんだろうし。な、成瀬、あいつ、どこ行くつもりなん? 何か聞いてねぇ?」
「え、……いや…」
 東山に話を向けられたものの、一応、誰にも言うなと力には釘を刺されていたので曖昧にごまかした。
 受験だからといって女の子と付き合うこととは、多分、力の中では何も関係ないのだろう。
 自分のやりたいようにやる、力はいつもそうなのだ。
「ほらまた、意識飛ばしてるし」
「え……」
 指摘されて佑人はちょっと笑う。
「いや、だってゴールデンウイーク、ラッキー連れて山でのんびりしてきたし」
「あのさ、それって家族とだろ? オトモダチと行くっつうのが大事なんよ。あ、言っとくが上谷と同列に考えたりするなよな? 俺はやつみたいにせこいやり方はしない。正攻法主義だから」
 威張って言う坂本を見つめながら、佑人は一つため息をついた。
「いいよ、わかった」
 息苦しいのは力のことをすぐに考えてしまうせいだろう。
 そんな自分から逃げ出したかった。
「おし! んじゃ、スケジュール決めようぜ」
「でも、遠出ってどこ行くんだ? ラッキーも一緒だと、電車は無理だし」

 


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