空は遠く221

back  next  top  Novels


「お泊りでお勉強? へえ、いんじゃない? 女の子と?」
 兄の郁磨は佑人の話を聞くと、茶化して聞き返した。
「残念ながら」
 佑人は苦笑する。
「坂本の実家があるんだって、鵠沼に」
「実家って?」
「お父さんの仕事の関係で、こっちに引っ越したみたい」
「フーン。でもラッキー連れて行くんなら、車じゃないとだめだろ?」
「何かツテがあるって言ってた」
 土曜日の朝、玄関の前にやってきた車から降り立ったそのツテの顔を見て、佑人は思わず駆け寄った。
「練さん、おはようございます。まさか、練さんが行ってくれるの?」
「おう、成瀬くん、おはよう。最近店に来てくれないからさ」
 練は強面に精一杯の笑顔を浮かべた。
「でも店は大丈夫?」
「ああ、マサに任せてあるから心配いらない」
 坂本もナビシートから降りて、辺りを見回した。
「チョーアメリカンな家」
「ああ、うちの親、ボストンかぶれで建てたから」
 佑人が応える前に、家から出てきた郁磨が答えた。
「あ……おはようございます」
 坂本はちょっと気恥ずかし気にペコリと頭を下げる。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
 郁磨はにこやかに二人に挨拶する。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ