「お泊りでお勉強? へえ、いんじゃない? 女の子と?」
兄の郁磨は佑人の話を聞くと、茶化して聞き返した。
「残念ながら」
佑人は苦笑する。
「坂本の実家があるんだって、鵠沼に」
「実家って?」
「お父さんの仕事の関係で、こっちに引っ越したみたい」
「フーン。でもラッキー連れて行くんなら、車じゃないとだめだろ?」
「何かツテがあるって言ってた」
土曜日の朝、玄関の前にやってきた車から降り立ったそのツテの顔を見て、佑人は思わず駆け寄った。
「練さん、おはようございます。まさか、練さんが行ってくれるの?」
「おう、成瀬くん、おはよう。最近店に来てくれないからさ」
練は強面に精一杯の笑顔を浮かべた。
「でも店は大丈夫?」
「ああ、マサに任せてあるから心配いらない」
坂本もナビシートから降りて、辺りを見回した。
「チョーアメリカンな家」
「ああ、うちの親、ボストンかぶれで建てたから」
佑人が応える前に、家から出てきた郁磨が答えた。
「あ……おはようございます」
坂本はちょっと気恥ずかし気にペコリと頭を下げる。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
郁磨はにこやかに二人に挨拶する。
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