空は遠く224

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「んで、育ったら仲間引き連れてこの辺りでブイブイ言わせてたと」
 坂本が茶々を入れる。
「るせんだよ。だからガキの頃の話だっての」
「そういえば、成瀬、後ろ、すんげ荷物、何? ひょっとして酒?」
 ついでに佑人にも坂本はからかいの目を向けた。
「残念ながら、バーベキュー用の肉とか野菜とか、ウーロン茶とか? あと、昨日母がミートパイとアップルパイを焼いたんで、お礼というほどではないけど、練さんも食べて行ってください」
「ウッソ! 渡辺美月お手ずから?! まいっちゃうなーーー」
 荒っぽいようだが、同乗者を疲れさせない流れるようなハンドルさばきで第三京浜を飛ばす練はそれこそ上機嫌で、一行は一時間もかからずに鵠沼に着いた。
「なるほどー、坂本くんもええとこのボンいうこっちゃなー」
 門を開けて車をガレージに入れると、少し年季が入っているが、かなり大きな洋風住宅だ。
「なーに、僻み入ってんだよ、練さん。ま、ま、中入って、休んでいけよ」
 テーブルセットが置かれた庭は少し芝生が伸び過ぎの感があるだが、バーベキューやろうぜ、という坂本の提案にはもってこいのようだ。
「すんげー青いし、空、バーベキュー日和!」
 坂本は広いリビングの奥にあるキッチンで湯沸かしをセットすると、ベランダに続く窓を全開にした。
「まず、掃除が先だろ? どこからやる?」
 佑人に足を拭いてもらって家の中に入ったラッキーは早速練の座るソファに飛び乗って、ちゃっかり寛いでいる。
「とりあえず、渡辺美月お手製のパイをいただいてからだな。成瀬も座ってて」
 坂本はリビングボードから、ティーカップやポットを取り出しながら言った。

 


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