空は遠く227

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 掃除機を抱えて隣の部屋へと移動しながら、坂本は続けた。
「実際、うざくて」
「まさか、それがうちの学校、来た理由とか?」
「何だよ、成瀬だって、うちみたいな三流に入るような成績じゃないだろ?」
「近いからだって。せめて二流と言ってやれば? ってか、そのランクって、何だろうな。よく考えると」
 しばし、坂本は足を止めた。
「学業とか、ガラとか?」
「ガラって何だよ」
 佑人は笑う。
「重要な、分析材料だろ? 成瀬みたいな生徒が入って、ほんの少し、ランクが上がった」
「ランクとか……あまり好きじゃない」
「そう杓子定規に考えんな、ゲームみたいなもんだろ」
 そうだな、まともに考え過ぎるのは自分でもよくわかっているのだが。
「やっぱり、中学の喧嘩が原因?」
「え」
 窓を開けて部屋に風を入れようとした佑人は坂本を振り返る。
「おふくろさん、有名人だから色々言われたみたいだけど、成瀬が責任感じることないって」
「知ってた?」
「まあ、ちょっと聞いた」
「でも、怪我させた」
 表情を硬くする佑人を見て、坂本は大仰に溜息をつく。
「だったら、俺ら、力を筆頭に、東もみんな、成瀬より大罪犯してるってことになるぜ? 練さんなんか、ほら、ブイブイいわせてた頃なんか、ちょっと怪我させたなんてもんじゃないし。でも今はもうちゃんとしてるぜ? んな昔のことにこだわってたら、ちっとも前に進めないだろうが」
 坂本はいつになく熱っぽく語る。

 


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