空は遠く228

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「第一、喧嘩の原因って、彼女かばってだろ? 俺だって好きなやつが危ないってなら、いくらでも喧嘩してやるさ」
 どこまで知っているのかと訝しんだものの、真剣な目を向ける坂本を見つめ、佑人は微笑んだ。
「坂本って、ひょっとしていいやつだった?」
「あったりまえだろ? 今さら」
「俺、要領悪いみたいでさ。兄にも言われたよ、マジに考え過ぎるって。でも性格だし、しょうがないよ」
「いや、だから、もちょっと肩の力抜いてだな、あたら短い青春を謳歌しなくてどうするよ!」
 佑人はついに吹き出した。
「坂本、うちのおじいさんみたいなこと言ってる」
 そういえばこんな風に昔のことを家族以外と話したことはなかったな、と佑人は思う。
 いや、話すこと自体なかったな。
 ざっと家の中の掃除を終えると、坂本は庭の隅にある物置から芝刈り機を出してきた。
「あ、それ、うちにもある」
「成瀬んちは広いから、こんなんじゃ大変だろ?」
「まあ、たまに造園業者に入ってもらうけど」
「だよな。うちなんかこれイッコで楽勝!」
 言いながら、また物置に入ると今度はバーベキューセットを取り出してきた。
「俺ざっとやるから、成瀬、そっちスタンバって?」
「わかった」
 始め、坂本から泊りで遠出などという誘いを受けた時はどうやって断ろうかくらい考えていたはずが、バーベキューセットを用意している今、結構楽しんでいることに佑人は気づいた。
 家族以外では夏に柳沢と二人で料理をしたりテニスをしたりしたことはあったが、柳沢はあくまでも郁磨の友人だ。

 


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