「煮え切らないなー、あ、ひょとして、ボストンに好きな子がいるとか?」
唐突に顔を覗き込まれて、佑人はつい身体を引いた。
「……そんなんじゃ、ないけどね。まあ、考えてもいいかな、とは思ってるけど」
「思い切り回りくどい言い方してないで、行くって言えよ」
佑人は苦笑する。
坂本となら友達もやっていけるかもしれない。
そうは思うものの、それでもまだ、佑人の中ではここまでという線引きをどうしてもしてしまう。
それこそ、郁磨に言わせたら、友達なんてそこまで深く考えることはないものに違いないだろうが。
「さあてっと、そろそろ帰って夜のバーベキューの準備しようぜ」
「夜も、やるのか?」
「あんだけの量だぜ? 明日もバーベキューだな」
二人は笑いながら、閑静な住宅街の間の細い通りを坂本の家へと戻り始める。
だが数軒手前まで来た時、佑人は庭から煙らしきものが上がっているのに気づいた。
「あれって、煙じゃないか? ちゃんと火、消したよな」
「まさかだろ、ヤバ……」
走り出した坂本に佑人もラッキーとともに続く。
「お、もう焼けたんじゃね?」
「うまそ!」
だが慌てて門を開けようとした二人は、聞き覚えのある声を耳にして思わず顔を見合わせた。
「おい! てめーら、勝手に人んちで何やってんだ!?」
門を入ってすぐ、バイクが二台停めてある。それを見ただけで、佑人は胸の鼓動が早くなるのを感じた。
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