「どこ行ってたんだよ」
「お前らも食う?」
「先にやってるぜ」
見慣れた顔が三つ、いい匂いをさせている肉や野菜とともに二人を出迎えた。
「練がせっかくのバーベキューのお誘いだったのに、仕事で残念だとか言うんで、代わりに来てやったんじゃねーか。二人じゃ食べきれねー量だっつって」
一番ふてぶてしい態度でガーデンチェアに踏ん反り返っている男がニヤニヤ笑う。
「誰が代わりにてめーらに来いっつったよ!」
「えええ、二人だけでこんな豪勢なことしようなんて、ずっるぅい!」
「そうよねええ、友達なのにぃ」
力と東山がでかいガタイを捩ってしなをつくってみせる。
「キモいマネすんじゃね!」
「な、坂本、カラオケないの? カラオケ!」
啓太は啓太でトングを持ってはしゃいでいる。
「んなもんない! てめーら、いいか、俺らはお勉強会に来たんだ、お勉強会! わかるか? ただ、バーベキューやりに来たんじゃねーの」
「お勉強会、上等じゃねーか。ま、突っ立ってねーで、座れよ。もう焼けるぜ、肉」
何を言おうと暖簾に腕押しな感じの力に顎で促されて、坂本は一つ溜息をつくと、佑人を椅子に座らせて、「貸せ!」と、啓太からトングを奪い、バーベキューコンロの主導権を握った。
「お、………ワンコ、怪我、もう平気?」
佑人の傍におとなしく座ったラッキーに恐々目をやりながら、啓太が聞いた。
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