空は遠く232

back  next  top  Novels


「うん。ありがとう、もう平気」
「後片付けはてめーらがしろよな。掃除とか準備は俺らがしたんだから」
 不承不承、三人の皿に新しく焼けた肉を取り分けながら、坂本が言った。
「わあかったって。いいじゃん、バーベキューなんか、大勢のが楽しいぜ? な、成瀬」
 東山は佑人の肩を叩く。
「ふ、そうだな」
 確かに、と佑人は頷いた。
 坂本と二人で準備したりするのも楽しかったが、こうしてワイワイ、いつもの仲間と学校の外で騒ぐなんて、もうどのくらいぶりだろう。
 去年みんなでカラオケに行った頃にあった佑人の心の強張りはもうとっくに消えている。開き直ったという方が正しいだろうが。
 何事もあんまり深く考えなければいいのだ。
 ただ、最近はこの仲間より内田と一緒にいるらしいことが多かったのだが、思いがけずこんな形で現れた力に、また別の意味で心の動揺が走る。
 力の笑い声やちょっと得体の知れない深い眼差しが間近過ぎて、佑人はぎこちなくなりがちな自分を必至で抑えなければならなかった。
 とにかく、第一にはせっかく楽しい時間なのだ、力とぶつからないようにしなければ。
「てめーら、まさか、泊まる気か?」
「いいじゃん、もう夕方だし、帰るのかったりぃもん」
「おい、ノンアルじゃねぇか。ノンがないやつ、ねぇのか?」
「んなもん、あるか! お勉強会だっつうの。」
 佑人の中ではグズグズとした葛藤はあったものの、美味いものの前ではあっという間に時間が過ぎていく。
 辺りが暗くなりかけて、ガーデンライトが灯り始めた頃、力のジーンズのポケットで携帯が鳴った。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ