クラスの用事でかけてきたとは思えないし、力に愛想尽かしをして佑人に乗り換えようなんてのは一〇〇パーセントないだろう。
どうやら力に拒否られたことが面白くなくて、何かしらの魂胆があってのことに違いないのだ。
携帯を切ってからしばし考えあぐねていた。
郁磨から内田の携帯番号は聞いているが、はっきり言って電話を掛ける気にはなれない。
今夜のところはせっかく、珍しく力といがみ合いになることもなくいられたのに。
「ん、どした? 成瀬。何だよ、お前もまさか彼女からとか?」
キッチンに移動して兄と話していた佑人の肩を叩いたのは、片づけを始めた坂本だった。
「いや、それが……」
姑息かとも思ったが、この際坂本も巻き込むことにした。
「うっそ、成瀬んちに? ふーん、いいじゃん、かけてみろよ」
案の定、坂本は面白がっている。
「俺、彼女苦手だし」
「まあま、手におえなければ俺が代わってやるって」
ニヤニヤ笑う坂本が様子を窺っている傍で、佑人はとりあえず内田の携帯をコールした。
「あ、成瀬ですが、何かうちに連絡をくれたみたいだったので、至急の用って何?」
「ほんとにごめんなさい、不躾に家に電話なんかして、でもよかった、成瀬くんとちょっと話してみたかったの」
コール二回で出た内田は早口に思ってもいないだろう言い訳で切り出した。
「お兄さんにお聞きしたんだけど、お勉強会やってるって。推薦狙ってるにしても、ちょっとここのところ成績停滞気味だし、成瀬くんとのお勉強会なんてすごいし、よかったら私もご一緒させてもらえないかな、とか思って」
次にはしっかり自分の希望を口にしてくる。
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