そんなところが佑人に和泉真奈を思い出させて、すぐにでも携帯を切りたくなったが、何とか抑えて佑人は答えた。
「主催は坂本だから、ちょっと聞いてみるよ」
佑人は保留にして興味津々で聞いている坂本を振り返る。
「内田さんが、勉強会に参加したいって言ってるんだけど」
「まあ、お泊りだし、実は女でも連れ込んでんじゃないかって心配なんじゃねー?」
代わるよ、と坂本は佑人の携帯を取り上げた。
「もしもーし、内田さん? 坂本です。悪いんだけど、今日は俺んちでヤロウばっかの集まりだからさ、女の子の参加はまずいかな。ああ、でも何なら、最寄り駅まできて力のヤツ呼び出せば? ちょっと遠いけど、鵠沼」
軽い調子で坂本が水を向けると、どうやら内田は来るつもりになったらしい。
「力のヤツが携帯出なけりゃ、成瀬の携帯鳴らしてみろよ。じゃな」
小一時間ほど経ってバーベキューの片づけが終わった頃、佑人の携帯が鳴った。
「ああ、山本に代わろうか?」
内田からで鵠沼の駅にいるという。力の携帯にはかけずに佑人の方に連絡してきたようだ。
「いいの、ごめんなさい、成瀬くん、駅にいるからって伝えてもらえる?」
おそらく力の性格から、またかけてもきっぱり拒否られると思ったのだろう。
わかった、と携帯を切った佑人だが、ほんとは伝えたくなんかないし、このままこじれればいいくらい思ってるやつなんだけどな、俺は、などと意地悪く心の中で呟いてみる。
内田にしてみれば佑人など力の周りの誰かで、うまく使ってやればいいくらいに考えているのだろうけど。
坂本にやらせられていたバーベキューコンロの掃除が終わったらしく、力がちょうどリビングに入ってきた。
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