空は遠く237

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 去年のクリスマスイブ、力に後ろから抱きすくめられた時のことがふっと思い出されて、また顔が熱くなる。
 女の子とキスした時だって、あんな目の前が真っ白みたいな状態になることはなかった。
 いや、厳密には抱きすくめたのではなく、黙らせようとして羽交い絞めにしただけなのだが。
 全く、三年になったらもっと一人で動けると思っていたんだけどな。
 今さらながらにまた力と同じクラスになって、坂本の家で勉強会なんて思ってもみないことばかりだ。
「そうだったっけ?」
 また頬を紅潮させているのを知られまいと、佑人はなるべく声を落とす。
「ちぇ、つれねーの。こんなにラブラブ光線出しまくってんのに。今回の勉強会だってせっかく成瀬と二人っきりになれると思ったのにさ」
 ブツブツ文句を垂れ流している坂本の言い分など聞いているようすもなく、向かいでは、「成瀬、これってどうやって解くんだ?」「ああ、これはね」と先ほどから頭を悩ませていた東山が佑人にSOSしている。
「なーんだよ、無視かよ、いいもんね、ちぇ、お茶にしよっと。甘いのもいいけど、ミートパイも美味そうだよな~」
「え、パイ? 俺も食べる!」
 坂本が冷蔵庫を覗くと同時に寝ぼけた声を発して、啓太がソファにむっくり起き上る。
 途端、一斉に笑い声が上がった。

「うわ!」
 ドアを開けた途端、飛んできた枕を佑人は思わずキャッチした。
 勉強会がいつの間にか楽しいお泊り会に発展して、二階の客間ではいい年をしたヤロウどもがすっかり小学生気分でぎゃあぎゃあと大騒ぎである。

 


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