空は遠く239

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「修学旅行もこのみんななら面白かったのにな」
 啓太もやっぱりTシャツに短パンでベッドの上に胡坐をかいている。
「修学旅行か、そういや、とっくに終わってたよな、俺らの学年だけ一年の三月ってないよなぁ、例年二年の夏に北海道旅行って決まってんのに、ちょうどサミットとぶつかったんだっけ?」
 肘枕で横になりながら、東山が言った。
「だよなー、政治家のお蔭で俺らの修学旅行ってとても修学旅行って気分じゃなかったよな、一年ん時じゃなー。しかも北海道なんか猛吹雪だし、結局九州巡り」
「そういや、福岡で東、地元の不良にからまれて相手ぼこぼこにしたっつって夜こそっと戻ってきたよな」
 啓太がけらけら笑う。
「るっせー、旅の喧嘩はやり逃げっつーだろーが」
「んな換言、あるかよ」
 坂本が吹き出し笑いをすると、啓太も東山も笑い、つられて佑人も笑う。
 結構不埒な内容だが、人前で何も考えずに素直に笑えている自分に気づいて、少し不思議な気分になる。
「よーし、んじゃ、来年の春、卒業したらどっかみんなで行こうぜ。その頃なら免許取ってるはずだし。卒業旅行ってやつ」
「のった! それいい! どこ行く?」
 坂本の提案に啓太がすぐに反応する。
「余裕、ぶっこいてんなー、坂本。もう合格したつもりでやんの。俺なんかどうなってっかわかんねーってのに」
 最近、ちょっと必死になって勉強し始めた東山は眉をひそめる。
「まあまあ、それはそれ。な、成瀬もいいだろ?」
 急に返答を求められて、佑人はさすがに躊躇する。
「どうかな。受かってれば……」
 合否よりも気になるのは力の存在だ。
 力も一緒に行くことになるのだろうか。

 


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