空は遠く240

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 でもそれこそ、その頃、この関係もどうなっているかわからない。
「成瀬が受からないわけないじゃん。まあ、あとは力だが、ヤツはその頃になってみないとわからないしな」
「そうそ。どんな女が傍にいることやら。まず、内田じゃないことはかけてもいいぜ」
 東山は断言する。
「でもよ、あいつどっか狙ってる大学あんの? まあ、成績もそこそこだし、理系っつーのもうなずけるけどよ。坂本、何か聞いてる?」
「いんや。ヤロウ、受験のことになるとはぐらかしやがって」
 どうやら力はまだ誰にも獣医学部を受けることは話していないらしい。
 いずれにせよ、卒業までもう十カ月ほどだ。
 卒業すれば本当に力とは縁が切れる。
 だったら、もしその頃までこのあやふやな関係が続いているのなら、坂本の言う卒業旅行に佑人も力と一緒に行ってみたい気がした。
 それからしばらく、小学校やら保育園幼稚園の時の話で盛り上がり、敬遠されるかなと思いつつ佑人もボストンの小学校時代の話をしたが、みんなが興味津々で聞いてくれたので少し嬉しくなった。
 今までボストンのことを話すとシラッとなったり、やっかみ半分の中傷を言われたりした経験しかなかったからだ。
 だがそれもたまたまなのかもしれないし、相手によっても違うのだ。
「あーっと、喉かわいたよな、よーし、じゃんけんで負けたヤツ、冷蔵庫からノンアル缶とポカリ持ってくる!」
 今度は負けてしまった佑人が持ってくることになった。
 そういえば何時なのかも忘れるほど話に夢中になっていたが、おそらくもう午前零時をとっくに過ぎているに違いない。
 電気をつけなくても、センサーでフットライトが点くのでそのまま階段を降りて、キッチンに向かう。

 


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