空は遠く244

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    ACT  24
 
 
 週明けからクラス内にちょっとした異変が起きていた。
 最初は中間テストも近いし、佑人は学年一番をずっとキープしていたから教えてほしいという生徒がいても何も奇異なことではなかった。
 だが、「ねえ、成瀬くん」と幾度となく彼女の口から発せられるようになると、クラスメイトの目はその度に振り返った。
 それも力の方には目もくれず、内田が力から佑人に乗り換えたと、いつしかヒソヒソだったのが、佑人にもしっかり聞こえるようになった。
 坂本の家でバーベキューと勉強会をした翌日曜日、朝から不機嫌な顔を隠そうともしなかった力は、コーヒーだけ飲むと一人で先に帰ってしまった。
 佑人とは目も合わせなかった。佑人が見なかっただけかも知れないが。
 その矢先の嫌な展開だった。
 ヒソヒソと自分の噂をされる、中傷ではないにせよ、佑人にとって忘れたはずの中学時代のあの嫌な感覚が呼び戻される。
 まるで力から彼女を奪ったかのような筋書きになっていて、何より、佑人が危惧したのは力の中でまた自分を嫌う要素が増えることだった。案の定、昼にたまたま屋上にやってきた力に嫌味を言われた。
「おんや、成瀬くん、彼女ほっといてこんなヤロウどもとつるんでてもいいのかな?」
 東山や啓太、坂本といつものように屋上にいると、やってきた力はニヤニヤ笑った。
「で? もうやっちゃった? あいつ結構いいカラダしてっだろ? ムネ、でけぇし」
 わざといかがわしげな言いぐさに佑人はぐっと言葉に詰まる。

 


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