「力! 何、言いやがんだ! 成瀬がんなことするわけねぇだろうがよ!」
カッとなった坂本が怒鳴る。
「誰にもなびかなかった優等生の成瀬くんがついに陥落って、学校中の女どもが嘆いてんぜ」
「彼女は俺と何の関係もないし、第一、自分のつき合ってる子のことをそんな風に人前で言うな!」
さらにふざけた言葉を投げかける力を佑人は睨みつける。
「今さら優等生ぶるこたないだろ? 俺らの前で」
力の忌々しげな言葉は容赦なく佑人を痛めつける。
「いい加減にしろよ! 力!」
キレた坂本は力の胸ぐらを掴む。
坂本がどう佑人を庇ってくれようと、当然、彼女を佑人にとられたなんて、噂にせよ力はムカつくに決まっている。
おまけに相手が佑人だったら尚更だ。
それなのに、実は佑人が好きなのは力だなんて、滑稽極まりない。
やはり、と佑人はここに自分がいるのがおかしいのだと再確認する。もともと自分の居場所ではないのだ。
ちょっと調子に乗りすぎたのだ。ほんの少し、仲間になれたような気になったりして。
佑人は立ち上がって踵を返す。
「おい、言い返しもしねぇで、敵前逃亡かよ! 言いてぇことがあんなら言えよ!」
力の言葉がまだ背中に追いかけてくる。
「ちょ、成瀬って!」
階段を駆け下りた佑人に踊り場で追いついた坂本は、佑人の腕を掴んで引き留めた。
「あんなやつの言うことなんか、気にするこたない。いつものことだろ? ああいうやつなんだ」
「でもまた、嫌われた」
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