「え………」
「わかってる。あいつは最初から俺が目障りだったんだ。なのにまた同じクラスになったり、そんな俺が彼女と変な噂たてられたり、ムカついて仕方ないんだろ」
坂本はもの言いたげな顔で佑人をじっとみつめた。
「俺がいるとみんなも面白くないだろ。坂本にも気を使わせてすまない」
「俺は……気を使ってるわけじゃない。成瀬と一緒にいたいし……」
「ありがとう、坂本」
佑人は静かに腕を離し、坂本に背を向けた。
何か、これって小学校の時と同じシチュエーションだな。
あの時から全然、変わってないってことだ。山本との間にある大きな隔たりはちっとも縮まっちゃいないんだ。
俺ってバカ。どうせなら徹底的に嫌われた方がいいなんて、負け惜しみ。
同じシチュエーションでも、今の方がきつい。
ずっと………。
昨夜、ラッキーと散歩していた時は満天の星空だったのだが、朝になると空は灰色の雲に覆われていた。
昼近くなる頃から雨が降り出し、季節はいよいよ梅雨に突入したようだ。
雨は苦手だな……
佑人は窓に目をやって心の中で呟いた。
梅雨寒というところだろうか、今日は半袖だと少し過ごしづらい。
中間テストも終わると、しばらく静かだった校内は球技大会を間近にして、俄かにざわめいていた。
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