空は遠く248

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 どちらかというと球技大会が終わるまではクラス委員などよりずっと大変な運営委員もまずなり手がなく、結局甲本が同じクラス出身でやはり同じ医学部志望の田淵を勝手に指名した。
「とにかく、今年は全員参加ということで、男女とも一種目テニスが増えたので、各自いずれかの競技に参加するように。各競技の優勝クラスと総合優勝クラスには豪華賞品が出ます。それ以外にも競技時間外では審判や係員も決めます。えー、女子はソフトボール、バレーボール、テニス、男子はサッカー、バスケ、バレー、テニスなんで、女子は十二人だから参加競技は話し合って決めてください。男子はまず、希望者を募るか」
 正直、佑人は球技大会など欠席したい気分だった。
 数日前、屋上で力と言い争いになってから、佑人は誰かと話すのさえ億劫だった。
 昼休みも力を避けているから、東山ともほとんど話をしていない。
 ただ、力が何か言ったのだろうか、内田の「ねえ、成瀬くん」がなくなったようで、ほっとしていた。
 聞かれれば答えざるを得ないが、それだけでくだらない噂を立てられるのはごめんだった。
「ええっと、あと、参加の名前がないのは………成瀬、あと成瀬だけか、希望の競技、言って」
 グダグダと考え込んでいた佑人は、いきなり運営委員の田淵に名前を呼ばれてはっと我にかえる。
「え……と、俺は」
「全員参加だから、パスはなしな」
 言い逃れをする前に釘を刺された。
「テニス、やります」
 ダブルスだからパートナーはいるが、最低人数のチームだ。
 まあ、相手にもよるけど………と、黒板を見た佑人はテニス希望者の欄にある一名の名前が東山とあるのを見て、欠席しなくてもよさそうだと思う。
「パスりたかったんだけどさ、俺、団体戦苦手だし」
 ホームルームが終わり、次の化学室への教室移動で最後の方になってから廊下に出た佑人は、肩を叩かれて振り返った。

 


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