いくらなんでも教室であんなこと!
学校から逃げるように家に戻ってくるまでの間のことは、ほとんど覚えていない。
ただ、二人が絡んでいる生々しさだけが、頭から離れなかった。
それにしても、何もそんな場面にわざわざ出くわさなくても、とその皮肉さを思う。現実は得てしてそんなものだ。
それなのに、この力という男は、翌日も何事もなかったかのように東山や啓太とちょっとふざけあったりして、平然と試験を受けている。
自分だけが意識していることが、佑人は馬鹿らしくなる。
別に美紀になりたいわけでも女になりたいわけでもないのだから。
二人が何をしようと自分には関係がないのだ。
少しばかりの胸の痛みを押さえ込み、佑人はようやくそんな答えを導き出した。
「力のやつ、ミキティ今日も迎えに来てたぜ、もう、アッツーって感じ」
久しぶりに無理やり連れて行かれたいつものマックで、啓太が言った。
「もうすぐイブだし、二人でイチャイチャってかよ……わああっ、何で、力ばっか、マジ、ズリィよなぁ!」
「まあ、あとどれだけもつか、そろそろ時間の問題だがな」
一人で悶々とわめき散らす啓太を見て、坂本がフンと鼻で笑う。
「何でだよ、あのミキティだぞ! いくら力でもミキティを泣かせたら、俺は許さねーぞ!」
今度は東山まで拳を握り締めて喚く。
「あの女の方は、力のやつを落としたつもりで浮かれてるみてぇだが、せいぜいイブくらいまでが限度ってとこ?」
「何だよ、坂本、その言い草……」
「あの女の手には余るってことさ、力は。あ、わり、俺、今日カテキョ、来るんだった、お先!」
坂本は東山をするりとかわし、たったか店を出て行った。
「カテキョか、あいつホントはマジメなんだなー」
啓太が他人事のように呟く。
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