「バーカ、あいつのカテキョ、T大のおねーさまで、これがまたいい女なんだと。一石二鳥ってこないだ俺に自慢してくれたさ、ちっくしょ!」
「ナニナニ、そんなことやってんのかよ、あいつ! あ、でもさ、昨日の朝、電車ん中で、すんげー可愛い子みつけたんだ、俺。一女の子!」
佑人はそんな三人の会話に、口を挟むこともせず、黙ってハンバーガーを食べ終わり、コーヒーを口にした。
坂本が何をしようとどうでもいいのだが、力とミキティがクリスマスまでもつかどうか、などという言葉がまた佑人の心をかき乱す。
――――――別れてしまえばいいのに。
心の中で呟いて、軽い自己嫌悪に陥る。
力が何をしようと自分には関係がないと言い聞かせながらも、もうずっと、そんなことの繰り返しだ。
どす黒い思いが渦を巻く。抜け出せないラビリンス。
見つめていればいいだけだったはずなのに。どうしてそれだけのことが苦しくなってきたのだろう。
苦しいのはごめんだから、関係ないと考えればいいのだ。
なのに、関係ないという言葉に心が痛みを覚える。
逃れられないパラドックス。もうずっと囚われている。
「………渡辺くん」
静かに時が流れてくれるのなら。
ひっそりと、目立たず、苦にもされず。
「……渡辺くん、久し…ぶり……私、さっき、みかけて、あの、ずっと謝りたくて……」
唐突に耳に飛び込んできた違和感。
それはこの場にあるはずもない言葉。
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