「本当にごめんなさい、私……」
いつの間にか、佑人の横に二人の少女がたたずんでいた。
「人違いです」
「え……?」
少女は佑人の言葉をそのまま受け入れられなかったようだ。
「誰かと間違えているんじゃないですか?」
もう一度佑人は努めて静かな口調で言った。
途端、少女の目からぽろぽろと涙がこぼれた。
「私……私……ごめん…ごめんなさい……」
少女は深く頭を下げたかと思うと、泣きながら走り去った。
「待って、真奈!」
一緒にいた少女が後を追いしな、佑人を振り返り、「最低!」と叫んだ。
呆気にとられていた啓太と東山は、二人が走り去ると、「おい、成瀬! いいのかよ」と佑人に詰め寄った。
「勘違いだよ」
佑人はゆっくりコーヒーを飲んだ。
「あ、そか、渡辺、とかって言ってたもんな」
東山が納得したように頷く。
「でも、すっげー可愛い子だった、あれ、見かけない制服」
「ばっか、かの有名な白河女学院だろ、超セレブなお嬢様校だろーが」
東山がパシッと啓太の頭をはたく。
「へ、ほんと……?」
「そ、俺たちじゃ、ちょっとやそっとじゃお近づきにもなれねー」
「で、でも、成瀬、あの子、まっすぐ成瀬のとこきたんだぜ、ほんとにいいのか?」
啓太が尚も心配そうに聞いてくる。
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