空は遠く28

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「だから人違いだって」
「でも……泣いちゃって大丈夫かな」
「コーヒー買ってくるけど、何かいる?」
 佑人はするりと話題を変えて立ち上がった。
「あ、俺、アップルパイとコーラ」
 啓太はすぐそれに乗せられる。
「東山は?」
「あ、わりぃ、俺、ナゲットとコーヒーな」
 しばらく三人で過ごしてからマックを出ると、辺りはもうすっかり夜になっていた。しかも雨が降り始めている。
「うわ、雨かよぉ、降るなんていってたか?」
 啓太が口を尖らせて、軒下で文句を言う。
「駅まで走るしかないか」
「だな」
 言うなり佑人は走り出し、東山も鞄で雨をよけながら後に続く。
「ちょお、待てよぉ!」
 啓太が慌ててついてきた。
「うわ、びっちょびちょ」
 駅は急な雨のせいで傘も持たず、外に出られず様子見の会社員なども多く、ごったがえしていた。 
「じゃな、成瀬」
 濡れた学生服を手で払いながら東山が言った。
「また、明日~!」
 啓太も東山に続いて下り方面へ、佑人は上り方面へと別れてホームの階段を上がる。
「ほんと、冗談じゃない、何で今さら」
 一人になると、つい佑人の口をついて出る。

 


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