いずれにせよあの頃のことは当時楽しかっただろうことまでも今では苦いものとなって思い出したくもない。
ほんと、いつまでも昔のことウダウダと俺ってウザいヤツ。
自虐的に心の中で突っ込みを入れる。
「ま、盛り上げるのは力とかに任せときゃいいさ」
「ああ、そうだな」
力はバレーにも誘われていたが、結局サッカーチームに参加することになった。
受験だ何だと言いながら、新聞部に煽られただけでなく、どこまで行けるかとクラスのみんなも少しずつ熱が入ってきたらしい。
移動中も二年のどのクラスが強そうだとか、廊下のあちこちで球技大会の話になっている。
窓の外は雨が強くなっていて白く煙っていた。
サッカーチームは早速練習するぞと意気込んでいたが、屋外の競技だとこの梅雨がネックになるかもしれない。
「ルール、一応大会当日までに教えといて」
「わかった」
三年になってから東山が淡々と静かでマイペースだったのは、傍らに高田がいないからか。
高田って案外大物なのかもな。
佑人は人懐こい大きな目を思い出して笑みを浮かべた。
その日最後の授業が終わっても、多少雨脚は弱まったもののまだ止む気配はなかった。
玄関を出ると湿った空気が一気に絡みついてくる。
しばらく歩いたところで、後ろから誰かが足早に近づいてきた。
「成瀬くん」
聞き覚えのある声がして、ピンクの傘が横に並んだ。
内田だとわかって、佑人は少し身構えた。
「私、成瀬くんに謝ろうと思って」
佑人は硬い表情の横顔を見た。
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