空は遠く251

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「ごめんなさい、坂本くんにも言われたけど、私のせいで変な噂立てられたり」
「………いや、坂本が? 内田に何を言ったんだ?」
「どういうつもりで、成瀬くんに近づいてるんだって。力の気を引きたくてやってるんなら、成瀬くんにもいい迷惑だからやめろって」
 そんなことを、坂本が?
「私のせいで成瀬くんと力が喧嘩したって」
「ああ、そんなこと…」
 事実だけれど、佑人の中には誰にも言えないこともあるのだ。
「だって一緒にいても、力、私のことなんか見てないのよ。悔しくて、だから、力のこと無視して成瀬くんに近づいた振りしたりしてごめんなさい」
「いいよ、もう」
 軽く謝られたものの、何と言っていいのかもわからないし、あまり聞いていたい話でもなかった。
「でも、もう三年だし、最初、気晴らしにちょっとつき合えばとか思ってて、こんなにわけわかんなくなるつもりなんかなかったのよ」
 別れてしまえばいいなんて思ったりはしたが、彼女の心は自分の思いとシンクロして切なくなった。
 その時、横を通り過ぎた車が水溜りの水を思い切り跳ね飛ばして行った。
「やだ、よごれちゃった」
 内田はスカートの汚れを気にして指で確かめようとする。
「危ないから、こっちへ」
 佑人は内田を脇道へと促すと、ポケットからハンカチを差し出した。
「ありがとう」
 内田は遠慮なく佑人のハンカチでスカートの汚れを拭う。
「成瀬くんてほんとに優しいのね」

 


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