「そんなに俺が嫌いか?」
佑人は顔を上げた。
「何それ? 俺のこと嫌いなのはお前だろ? お前こそ、俺のこと嫌ってるくせに、高田や坂本に頼まれたからって嫌々、俺なんか構う必要はない!」
感情の高ぶりに飛び出す言葉を佑人自身止めることができない。
「誰が……嫌々…だって? お前に俺の何がわかるって……?」
力の目の色に狂暴な影を感じたが、佑人は殴るんなら殴ればいいくらいに自棄になっていた。
「お前こそ、俺の気持なんか何もわからないくせに!」
高揚した神経が限界を超えたのかもしれない。
自分でもわけが分からないうちに眦から涙が溢れて落ちる。
ガッと力の腕が目の前に伸びた。
次には木戸に佑人の身体を縫い付けるように力の大きな指が佑人の顎と喉を鷲掴みにしていた。
殴られる、そう思った佑人は思わず目を閉じた。
だが、襲ってきたのは痛みではなく熱さ。
激しく貪るように力は佑人の唇を蹂躪した。
息のできない苦しさに薄らと目を開けた佑人のすぐ間近に力がいた。
まるで時間が止まったかのような束の間の熱はやがてゆっくりと遠ざかる。
力の目は自分のしでかしたことを信じ難いとでも言わんばかりに見開かれていた。
雨の中を走り去っていく力の背中を、佑人はなす術もなくただ茫然と見つめていた。
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